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糖尿病の話題と糖尿病モデル動物

●食品機能研究ニューズ(05年9月号)

●2005年9月15日発行 【第16号】

9月に入り朝晩は随分涼しくなってきましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。皆様方に定期的に配信しておりますメールマガジン「食品機能研究ニューズ(05年9月号)」をお送りいたします。

今回は、糖尿病に関する最近の話題と当社でマウスにストレプトゾトシンを投与して作製した糖尿病モデルの具体的方法、結果のご紹介をいたします。この糖尿病についての話題は本研究ニューズ(02年3月号)で簡単にご紹介しましたが、最近この糖尿病モデルについてのお問い合わせが多いことより、再度最近の情報を加えて特集を組みました。今後、皆様方の糖尿病に有効性を示す機能性食品や医薬品の評価・開発のご参考になれば幸いです。

1. はじめに

1.1 糖尿病とは

私達が食物として食べた炭水化物は消化によりブドウ糖に分解され、小腸で吸収され血液中に入ります。そして、このブドウ糖は膵臓のβ細胞で作られるホルモン、すなわちインスリンにより細胞内に運ばれグリコーゲンとして蓄えられます。糖尿病では体内でインスリンを作れなくなったり、体内で作られたインスリンをうまく利用できなくなったりするため、血糖値が正常範囲を超えて上昇します。

1.2 患者数

厚生労働省から発表された平成14年度糖尿病実態調査報告では、「糖尿病が強く疑われる人」は740万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」を合わせると我が国における患者数は約1,620万人と推定されています(1)。

1.3 糖尿病合併症

糖尿病に伴う網膜症、腎症、神経症などの微小血管合併症は余命および日常生活に影響を与え、発症率も高いです。上記報告(1)では、「糖尿病が強く疑われる人」の中で、「合併症がある」と答えた人の内訳は、神経障害15.6%、網膜症13.1%、腎症15.2%と報告されています。これらの合併症により、毎年約3千人の患者が失明し、毎年約1万4千人が透析導入を受けています(2、3)。

2. 糖尿病の原因とタイプ

糖尿病は1型糖尿病2型糖尿病および妊婦糖尿病の3タイプに分類されます。この内、約5~10%が1型糖尿病で約90~95%が2型糖尿病です。表1に糖尿病の原因とタイプを概説します。

表1 糖尿病の原因とタイプ
分類 糖尿病の原因
1型糖尿病

ほとんど20歳になる前に発病し、以前は小児糖尿病またはインスリン依存型糖尿病(IDDM)と呼ばれていました。自分のβ細胞を異物として認識し攻撃(自己免疫反応)してβ細胞が破壊されることで1型糖尿病は発病します。その結果、膵臓ではインスリン生産が完全に停止するか、または十分な量のインスリンが作れなくなります(4)。

2型糖尿病

以前、成人型糖尿病またはインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)と呼ばれていました。2型糖尿病で認められる代謝異常は、インスリンの作用が相対的に不足することにより生じます。この原因として、①インスリンの分泌不全、すなわちインスリンが作れないこと、および②インスリンの抵抗性、すなわちインスリンの効き方(作用)が悪くなることが考えられています(4)。

最近では、このインスリン抵抗性の分子メカニズムについての研究が行なわれ、インスリンの糖取り込み作用とグリコーゲン合成作用に関するシグナル伝達機構が解明されつつあります(5)。

妊婦型糖尿病

妊婦の2~4%で発症します。妊娠中に起こる一時的な症状で、出産後は症状が消えることが多いですが、後になって糖尿病を再発することもあります(4)。

3. 糖尿病の予防と治療

3.1 概略

糖尿病の大部分は遺伝的要因と環境的要因の両方が深く関って発症する生活習慣病です。糖尿病とその合併症の発症・進展を防ぐためには、長期にわたり良好な血糖コントロールを行うことが重要です。糖尿病の治療方法として、食事療法、運動療法、さらには薬物療法が行われています(6)。

3.2 治療法

植物抽出物および食物繊維などの食品が正常ラットまたは2型糖尿病ラットにおいて、糖負荷後の血糖上昇を抑制することが報告されています(7,8)。抗酸化作用のある食品も糖尿病の進展や合併症の発症・進展防止に役立つと報告されています(9)。また、薬物療法として、古くからインスリンとスルホニル尿素誘導体が用いられてきましたが、最近ではKATPチャネルインヒビター、チアゾリジンジオン系薬物(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、α-グルコシダーゼ阻害薬などが使用されています(10)。

4. 糖尿病改善物質の評価法

従来から血糖降下作用を指標として各種の評価方法が考案されています。その方法は、①正常動物も用いる方法と②糖尿病モデル動物を用いる方法があります。ただ、「従来型の血糖降下作用」と作用機序が異なる糖尿病改善物質の評価には異なる指標を使った実験方法を採用すべきだと思います。

4.1 正常動物を用いる方法

正常動物を用いて単回投与または連続投与で血糖値に及ぼす影響を調べ、さらに正常動物の糖負荷時血糖値に及ぼす影響を調べるものです。「血糖降下試験」で陰性を示しても、「糖負荷試験」で陽性を示す物質もあります(11)。

4.2 糖尿病モデル動物を用いる方法

糖尿病モデル動物を用いて同様に、単回投与または連続投与で血糖値に及ぼす影響を調べ、さらに糖負荷試験、インスリン負荷試験を行う方法です。糖尿病モデル動物には、アロキサンやストレプトゾトシン(STZ)などの薬物で誘発する誘発モデル自然発症糖尿病動物モデル(BBラット、db/dbマウス、ob/obマウス、KKマウス、NODマウス、GKラットなど)があります(11)。今回はマウスにストレプトゾトシン(STZ)で誘発させた1型糖尿病モデルの具体例を紹介致します。

5. ストレプトゾトシン(STZ)誘発モデル

5.1 目的

STZで誘発するモデルは比較的簡単に作製できることから、今回はこの誘発モデルの作製を行いました。ただ、このモデルは1型類似のモデルで2型糖尿病に一般的なインスリン感受性低下は軽度ですが、STZの投与量により軽症型から重症型まで調節できる利点があります(11)。

5.2 実験方法

STZ(Sigma社)に少量の生理食塩液を加えて混合し、0.05Mクエン酸溶液(pH4.5)をSTZ 100 mg当り50μl加えて溶解させ、最終的に10 mg/mlの溶液を作製しました。この溶液を調製後、5分以内に予備飼育した雄性ICR系マウス(SPF、8匹/群)の腹腔内に100 mg/kgの用量で投与し、さらに1日おいた翌日に同様の用量のSTZをマウスの腹腔内に投与して糖尿病を誘発しました。

マウスは予備飼育期間および実験期間を通して室温24±3℃、相対湿度55±15%のバリアシステム飼育室(照明時間7時~19時、換気回数18回/時)で飼育しました。また、糖尿病の発症に伴い、多飲、多尿となるためマウスは2匹/ケージとし、固形飼料と滅菌蒸留水を自由に与え、2日間隔でケージ交換と給水を行いました。

定期的に体重を測定後、最初のSTZ投与13日後にエーテル吸入麻酔下でヘパリン添加の注射筒を用いてマウスの心臓から採血を行い、直ちに遠心して遠心後の血漿をグルコース濃度測定に供しました。血漿中グルコースはグルコース測定用キット(グルコースBテストワコー、和光純薬)を用いた酵素法で測定しました。

5.3 実験結果

体重の測定結果を表2に、また血漿グルコース濃度の測定結果を表3にそれぞれ示しました。正常群に比べて、STZ投与群は軽度の体重増加抑制を示しましたが、有意な差ではありませんでした。一方、正常群に比べてSTZ投与群は有意な血漿グルコース濃度の上昇を示しました。

table2-4

5.4 考察および本モデルの利用

STZの腹腔内投与により1型糖尿病に類似したモデルを作製できることが分かりました。STZ誘発糖尿病モデルは糖尿病および糖尿病合併症に有効性を示す医薬品や機能性食品の評価研究に役立つものと考えられます。一般的にマウスの誘発モデルはラットの誘発モデルに比べてより多量のSTZを必要とします。また、STZを腹腔内に投与して誘発するモデルは静脈内に投与して誘発するモデルに比べて多量のSTZを必要とします。

一方、新生児期のラットにSTZを投与して誘発するモデルも報告されています。このモデルは膵β細胞の一部が再生能を有しており、ヒトの2型糖尿病に類似したモデルと考えられていることなどから(7)、利用価値の高いモデルであると思います。

6. 参考文献

  1. 平成14年度糖尿病実態調査報告,厚生労働省健康局
  2. 中江公裕 他: 厚生の指標,38(7),13-22,1991
  3. 日本透析医学会統計調査「わが国の透析療法の現況」,2003年末の慢性透析患者に関する基礎集計
  4. 春日雅人:Ⅰ糖尿病の分類と診断,糖尿病の分子医学(門脇 孝 編),p.14-21,羊土社,東京,1992
  5. Yamaguchi S et al : Activations of AMP-activated protein kinase enhance GLUT4 translocation and its glucose transport activity in 3T3L1 adipocytes, Am J Physiol Endocrinol Metab,2005 May 31,Epub ahead of print
  6. 河盛隆造: 糖尿病の血糖コントロール戦略,糖尿病2001(赤沼安夫編),p.86-91,日本評論社,東京,2001
  7. 田淵三保子 他: ウコギ(Acanthopanax sieboldianus)葉投与が新生児期のストレプトゾトシン投与による2型糖尿病ラットの耐糖能に及ぼす影響,日本栄養・食糧学会誌,56,243-246,2003
  8. 寺本哲子 他: マテ(Ilex paraguariensis)葉抽出物の糖質分解酵素阻害作用およびラットにおける糖負荷後の血糖上昇抑制作用,日本栄養・食糧学会誌,58,17-21,2005
  9. Paolisso G et al : Pharmacological doses of vitamin E improve insulin action in healthy subjections and non-insulin-dependent diabetic patients, Am JClin Nutr,57,650-656,1993
  10. 仁木一郎: 多様化する糖尿病治療戦略のための研究基盤,総説特集 薬理学のQOLへの貢献4,日薬理誌,122,228-235,2003
  11. 栗原忠聖,夏賀 徹: 14.5 糖尿病治療薬,第14章 代謝性医薬品の探索,医薬品の探索Ⅲ,医薬品の開発9(斎藤 洋、野村靖幸 編),p.270-279,廣川書店,東京,1990
  12. 平野伸一: 糖尿病に関する試験,食品機能研究ニューズ02年3月号

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